埃のオタク小言

ジャニヲタから生まれたいろんなオタクです

またひとつ、きみが遠くへ行く日

まだ5年しか経ってないけど売れてるよ〜!
すごい!!!




関西ジュニアにグループがなくなった時代、ひとりの青年を好きになった。ハタチになる前なのにどこか大人びた、だけど少年のような歯を持つ、正門良規という男だった。

ジャニーズらしからぬスポーツ少年みたいな短髪に惚れてしまったわたしは、その日から彼を追いかけ始めた。

 

髪が伸び、茶髪にしだした正門くんは気づいたら関西ジュニアのオタクから「リア恋枠」とよばれるようになった。ステージに立っているのに、同じ大学にいそうなリアル感。

当時中学生だったわたしは「そんなの知るかー!」と思いながらNEVERまとめで正門くんの高校や大学を調べたりしていた。あの平成のオタクが全員お世話になったNEVERまとめに、正門くんメインの記事はなくてヤキモキした覚えがある。

結局、正門くんは大学には行っていなかったし卒業アルバムもいまだ流出していない。プライベートが完全に守られているすごいアイドルだ。

(アイドルの個人情報は調べちゃいけません)

 

正門くんはずっと、はしっこか後ろで踊っていた。そのあいだ、いろんな人が辞めて行った。繰り上がりで真ん中になったりすることもなく、空いたその位置に入所したばかりのルーキーが入ったりした。

端っこでも後ろでも、彼はステージに立つことをやめなかった。だからわたしも、そんな彼のオタクをやめなかった。正門くんがステージに立つ限りオタクでいようとおもっていた。

 

なにわ男子ができたあたりで、その「限り」が見えた。いままで見えなかったわけではない。いろんな人がやめて、関ジュのメンバーが変わって行くたびに、春松竹が終わるたびに、次は正門くんかもしれないとヒヤヒヤした。そのヒヤヒヤを笑うように、正門くんはどんどんフライヤーの位置を確立していった。アナザーもクリパも春松竹も、少年たちも。(気になる人は2015年のクリパからフライヤーを見て行って欲しい。毎年ちゃんといるから。)

ラジオのレギュラーをもらって、メインのメンバーとオリ曲をもらって、あのころの正門くんはなんかすごい大きくなっていた。これはデビューに近づけているんじゃないか、とわくわくしちゃうくらいにはノリに乗っていた。

そんなときできたのがなにわ男子だ。ラジオのメンバーも、オリ曲をもらったメンバーも選ばれたグループに正門くんは選ばれなかった。

高いところから突き落とされた気分だった。

あれはなんだったんだ、と悔しくてめちゃくちゃ泣いた。夢を見せておいてそんな仕打ちひどい、とどこに向ければいいかわからない怒りをずっと持っていた。

そんなことしたら、正門くんがやめちゃうじゃないか。どうしてくれるんだ。

だけど、正門くんはステージに立ち続けてくれた。

2019年の春松竹、フライヤーにデカデカと乗る正門くんを見てすごくうれしくなった。こんなに大きく乗ればやめることはないかもしれない!とおもった。ふしぎな並びだなぁと眺めていたフライヤーだったけど、その並びはAぇ! groupという形になった。

いま思えば、彼らはみんな選ばれなかった経験がある人だった。正門くんといっしょにオリ曲を歌っていた小島くんも、スパロケで唯一残った晶哉も、F8だったリチャ末も、いまはいない大晴も、自分の横にいた人がいなくなる経験をした人たちだった。

グループを結成したあとの彼らはずっとがむしゃらだった。前に前に、ととにかく走り続けていたように思う。

Aぇ! groupが認知され出したここ数年、彼らを「事務所に推されている」と表現する人が結構いて、わたしは感動した。彼らは全員、その言葉から程遠い場所からスタートしている。なんならどちらかというと「推されない側」だった。にもかかわらず、がむしゃらに走り続けた結果外から見たらそう見えるくらいに大きくなったのだ。なんてかっこいいジュニア。最高すぎる。

 

そんな彼らが、今日、念願のCDデビューを果たした。本人たちもオタクも大きな声で言えなかったデビューの目標を、彼らはその手で掴んだ。6人でスタートしたあの形のままじゃないけれど、思い出を引き継いで彼らは長いアイドルグループの道を改めてスタートした。

正門くんはグループに入っていないころ、デビューしたいという意思をあまりわたしたちに伝えなかった気がしている。長年オタクをしていたわたしも、彼がなりたいものが何なのか、Aぇができるまでわからないでいた。

だけどグループができて、デビューしたいと言ってくれて、ずっとそれを夢見ていたと打ち明けてくれて、はじめて正門くんを知れた気がした。

 

正門くんが「リア恋」と言われるたび、わたしは悔しかった。こんな素敵なアイドルが大学にいそうなわけないじゃないか、と憤った。「大学にいそうなのにアイドル」なんて、悪口だとおもっていた。

だけどさいきんは「アイドルなのに、親しみがある」というマイルドな意味合いに変わっているような気がするのでにこにこしている。

正門くんは、たしかに身近にいそうな振る舞いをしてくれる。だけど、もっと遠くにいてほしい。松竹座と客席の距離から、アリーナと客席の距離、ドームと客席の距離。そうやって、もっと遠い存在になってほしい。

世界のどこにいても遠くの月が見えるように、たくさんの場所から応援されるアイドルになってほしい。

わたしはやっぱり、正門くんがステージに立つ限りオタクをするから。

 

正門くんのこれからのアイドル人生が楽しく幸せなものでありますように。

長くなったけどあらためて、デビューほんとうにおめでとう。

それぞれのオタクも、ほんとうにおめでとう。