埃のオタク小言

ジャニヲタから生まれたいろんなオタクです

初めて酔っぱらった推しを見たときに読む話

とても長い、愛ある駄文

 

わたしの推しの話

 生まれてからずっと、ジャニーズが好きだった。テレビで歌って踊って、ライブに行ったら大きなステージでパフォーマンスをする、そんなアイドル。事務所が大きくて、たくさんのステージが用意されるトップアイドル事務所。わたしはその中でも、端っこの方に追いやられながらハングリー精神で立っているアイドルが好きだった。だから関西のジャニーズを好きになって、関西ジャニーズJr.を応援し始めるようになるのは必然だったのだと思う。

 まあ、今回ここで話す「推し」はジャニーズではないので関ジュのことは一旦置いておこう。事務所に推されていない人を自分で見つけて応援する、という関西ジャニーズJr.で教わった楽しさは、わたしをインディーズへと連れて行った。

 インディーズバンドに手を出し、歌い手に手を出した。自分で言うのも憚られるが、わたしは意外と見る目があるのかもしれない。好きになった当時、登録者1000人ほどだったバンドも歌い手も、わたしが応援し出してしばらくするとぐんぐんと人気になった。「わたしが育てた」と錯覚してしまうくらいには、わたしの読みは結構当たった。そんなデカいこと大きな声では言えないけど、ここではちょっと言ってみようと思う。

 先述したとおり、わたしは「端っこに追いやられながらもハングリー精神で立っている」人間が好きなのである。一気に人気がでて有名になった人間が、その心をまだ持っていると思うだろうか。答えは、当たり前にNOだった。推しの鼻が伸びるのを感じながら、そこから引っ越すようにわたしはいろんな場所へ移って行った。

 そこで出会ったのが「音楽系VTuber」である。歌い手界隈から逃げた先だった。

 誤解を生んでしまう前に言っておくが、わたしは逃げてきた界隈を批判しているわけではない。どの界隈も、めちゃくちゃに楽しい。ただやっぱり、根本的な合う合わないがどうしてもあるのだ。逃げてきた場所と今の場所を比べてしまうのは、ついつい元彼と今彼を比べてしまうような、なんというか人間のサガなのである。これから先の文章でちょっと比べてしまうので、そこらへんは許してほしい。

 歌い手の彼と出会った去年の春、わたしは狂ったように彼に執着し、彼を追いかけた。シチュエーションボイスの台本を書いて送り、毎日DMを送り、この曲を歌ってほしいと専用タグをつけてツイートした。専用アカウント(歌い手界隈だけかはわからないが、推しだけをフォローし、推しだけにフォローされた非公開アカウントがあった)も作った。彼の沼に、ずぶずぶとハマっていた。ただ、わたしのダメだったところは彼の歌がそんなに好きじゃなかったというところだった。彼は歌い手なのに。毎週火曜日と金曜日の夜にしていた配信で時折出る笑い声が好きだった。それ以外は(キャラの絵柄とか歌声とか売り方とか)あんまり好みではなかった。全部、いまだから言える話。

 あのときはたったひとつの笑い声がわたしの中で大きくて、それだけで彼を推していた。すごくない? 普通に。なんか一周回ってキモいかも。

あの界隈で出会った友達はとても優しくて、かわいくて、その子たちに会うためにライブにも行っていた。一番最初に行ったライブで最前を引いてしまったというのも、しばらく彼から離れられなかった要因だと思う。

ただ、彼は「歌い手」だった。朝起きれば絵文字がたっぷりついたにゃんにゃんおはツイ(おはようツイート)をするし、突然「きみのことをずっと考えてる」とか言うツイートもするし、配信で愛の言葉を囁くし、なんかそれがちょっと、自分の肌に合わなかった。これは全部、わたしの責任。わたしの許容が狭かったせいである。

 また、彼はグループを組んでいて、たびたび「俺らはアイドルだから」という言葉を使った。最初に述べたとおり、わたしは生まれたときから純度100%のジャニヲタである。「アイドル」? 何度もライブに足を運んだが、ダンスもファンサービスも到底アイドルとは言い難いものだったので、こればっかりは受け入れられなかった。ごめん。これもたぶん、わたしの許容の問題。器が小さかった。

 こうして、笑い声だけで賄っていた彼の魅力より「なんか違うかも」が大きくなってしまって、だんだんと彼を見れなくなった。配信中にたくさん投げられる投げ銭もホストのシャンパンにしか見えなくなって、あれれ〜、どうしよう、となっていたときに出会ったのが「音楽系VTuber」である。

 本題までが長すぎて、大半が元推しの悪口になってしまったこと、ごめんなさい。でも悪口って弾むものじゃないですか。許して、ぎゅ。(元推しのツイートの真似)

 あ、大事なことを言っておかなければならない。今から話す最高の推しは“誰かを下げなければ褒められない”なんてことはない。わたしが元推しを書いてしまったばっかりに、そんな捉え方をされたらちょっと困る。またわたしの罪が増えた。でも元推しの愚痴は本当に聞いて欲しかったんだ、誰かに……。

 ごめん。まじで最高にかっけー男の話を今からします。

 

 

 

 

 

○MZMの話

 そもそも、VTuberにハマったのも歌い手の彼がいたからである。あー、また悪口言っちゃう、ごめんね。君の名前は出さないから安心してくれ。

 元推しは、おもしろくなかった。楽しそうに話すんだけれど、まじで、おもしろくなかった。彼に狂っていた時期も、本気で彼と繋がって新喜劇に連れて行こうかと考えていたくらい、おもしろくなかった。関西のジャニーズが好きだった分、おもしろさがないと物足りなかったわけだ。それか下ネタ。おもろい下ネタ大好きなもんで……。でもそれもなかったの! だって彼らは自称「アイドル」だから! 下ネタ言いかけて「アッ」ってパニクっちゃうような子だったんです! ウブかよ!

 落ち着こう。ごめんなさい。

 まあ、そんなこんなで彼に疑問を抱いていた去年の12月始めに出会ったのがMonster Z MATE なのである。

 彼らは二人組の音楽ユニットで……ごめん、新参者すぎて説明するの難しいからとりあえずWiki をみてくれると助かる。

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=2ahUKEwibrNb_3rOAAxXqa_UHHXuvDVEQFnoECEgQAQ&url=https%3A%2F%2Fja.wikipedia.org%2Fwiki%2FMonsterZ_MATE&usg=AOvVaw2YHnFJAQm0KYe6rX6f9uPu&opi=89978449

 30代前半という、まあおじさんの彼らはなんというか、めっちゃおもしろい人たちだったのだ! たぶん、わたしの好みというだけだったんだけど、みんなも想像してみてほしい。いま付き合っている人に対して「うーん」という思いが増えていたときにドンピシャ好みのオモロ男性が現れてみろ! どーん! ズッコーン! ですよ。

初めて見たMonsterZ MATEの動画

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 めっちゃ下ネタ言う! 話の進め方おもろ! え、絶対お笑いすきじゃん!? なにこの人ら!

 と、歌い手の彼の配信そっちのけで動画を見漁り始めたわけである。

 倦怠期だった歌い手の彼との関係に亀裂が走ったのは年末だった。わたしは毎年M-1グランプリを楽しみにしている人間で、その日はM-1勝戦当日だった。敗者復活戦から見るわたしはお昼からすべての準備を済ませ、テレビの前で一喜一憂、プロの芸人さんによるエンターテインメントを楽しんでいたわけだ。そんなとき、歌い手の彼からの通知が来た。おや、なんだろうとCM中に見ると「ねえ、今日もきみのこと考えてどきどきしちゃった」とかいうツイートで。

 あぁ、やっぱりこの人はお笑いなんて見ないよねー、と思った瞬間、今度はMZMのコーサカさんのツイートが流れてきた。

 

 見てる! しかも敗者復活戦から! ワア、ワア……とわたしはちいかわのような声を出すことしかできなくなってしまった。最高だった。お笑いを見て、お笑いをおもしろいと言う彼らはきっと、いや絶対、おもしろいと思って、本格的に応援し始めたわけである。

 彼らの大元は音楽系VTuberで、そんな彼らの音楽活動はすさまじかった。普通にまじで、良い。もともとない語彙力がもっとなくなるくらいにはヤバい。なんというか、洗練された情熱だった。正しいかどうかはわからない。なにぶん去年の暮れからの新参者だ。言ってることをあまり間に受けないほうがいい。

www.youtube.com

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 新規のわたしがぶん殴られた曲はこんなところだろうか。最新の「メイトなやつら」もめっちゃいいけどそれはまた別の話にもなってくるので一旦置いておく。

 元推しとの清々しい別れを経て、わたしは最高のユニットにであったわけだ。

 

 

 

 

○浮遊信号 esora umaの話

 MonsterZ MATEの曲を漁っていて超好み! となったのがこの「StarZ」という曲だった。

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 歌詞が、良い。曲もいいんだけど。まじで好き。そんなStarZを書いたesora umaにわたしは徐々にハマることになる。

 

 浮遊信号も音楽ユニットで、StarZを作ったesora umaが曲の大半を書いていた。(同ユニットのあとり依和ちゃん作詞のカルトという曲もめっちゃいい)

 漫画や小説を読む人には“好みの作家”がいるように、音楽も“好みの歌詞を書く人”がいると思う。単純に言うと、esora umaはわたしの好みドンピシャの歌を書く人だった。

 今ある自分の環境と精神状態に刺さった歌が『凡能少年Re』だ。1分41秒という短い歌なのに、刺さってしばらく抜けなかった。自分自身に叫ぶように歌うesora umaに感染するように、わたしも「拝啓本当の僕よ」と考えていた。数えられるほどしかなかった「曲を聴きながら泣く」という経験を久々にした。

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 この人のことばの使い方が好きだと思って、速攻でサブスクをあさり、CDも買った。今までインディーズの人間を見つけてきたときと全然違う「その人が作り出す音楽」に夢中になった。そして、こんなに刺さることばを使って音楽をつくるesora umaとはどういう人なんだろうと気になった、というすこし違った経路で浮遊信号にハマっていった。Twitter(いまやXなのか)をフォローし、チャンネル登録をし、歌い手の彼のときにお世話になったツイキャスumaくんをフォローした。

 驚いたのは、配信の時間帯だった。歌い手の彼のとき、配信の時間帯は事前に伝えられていて、比較的たくさんの人が見れるような時間に設定されていた。だけどumaくんは深夜の3時などに配信を始めたりしていて、わたしは本当にびっくりしたのだ。「そんなんじゃ投げ銭ツイキャスではお茶)がもらえないじゃないか!」。そう思ったのと同時に彼は投げ銭が欲しくて配信をしているわけではないのか……と感心した。すごい、これがあの彼との差か……。そうだよな、だってこの人はただ歌うだけじゃなくてつくって届けてくれるんだもんな……。

 音楽を褒められるための道具として使っているあの彼(脚色しすぎだけどわりと合ってると思う)とちがって、音楽と真摯に向き合っているようなumaくんだからこんなに素敵な曲がつくれるのか、と思って妙に納得した。

 

 なんでこんな長々とesora umaについて話すために書いたかというと、これを書いている今がesora umaの配信終わりだからである。

 深夜0時半から始まった”酒を飲みながらの雑談配信”で、彼はいろんな“内側”を話した。今の彼の核となっているとわかってしまうくらい、“内側”の話。アルコール度数15%の日本酒をグイグイ飲んでいた彼は学生のときのとある担任が嫌いだったことや、その関係もあってすべてが嫌になって助けを求めるように仏壇の前で寝ていたことや、朝ごはんを食べながらお父さんの前でぼろぼろと泣いてしまったことを話した。

 10年以上前に亡くなったおじいさんの話をしながら泣き出した彼の声を聴きながら、あぁわたしはこの人と、この人がつくる音楽に出会えてよかったなと心から思った。

 そのあとでわたしの一番だいすきな曲「ほんとのところ」について言及しているところもあったのだけど、これはまた別の機会にまとめようと思う。

 

 アイドルを見て育って、ハングリー精神だらけの人間を好きになってきた。だけど、自分の精神状態や目標へ向かう足が停滞しているいま、そんな彼らのギラギラが眩しすぎて、苦しかった。今までは糧になっていたはずの存在が、自己嫌悪を悪化させる存在になりかけた。

 esora umaが書いて浮遊信号が歌って届けてくれる曲は、わたしを応援しない。あくまでも彼らの歌で、それをわたしが勝手に自分に置き換えて聴いている。それが、とても心地よかった。無理やり「がんばれ」なんて言わない。「あなたは頑張っているよ」と慰めたりしない。そんな歌を書くesora umaの「ほんとのところ」を今の配信で見た気がして、わたしはたまらなくなってこうして筆を取ったわけだ。ほら、お酒は本性を見せるなんて言うし。

 長々となってしまったが、これはヤマもオチもない、初めて推しが酔っ払い、推しの核の部分をちらりと見てしまったわたしへの記録だ。まあ、興奮しているのだ。深夜3時半。ベロベロに酔っぱらったumaくんは寝落ちしながらも配信を終わった。

 泣きながら十数人の視聴者に向かって配信をした彼は、朝ごはんを食べながらお父さんの前で泣いた彼とどういっしょでどうちがうのか。

「じいちゃんが大好きだった」と言う彼の中に、人へ向ける気持ちがどうあるのか。

 暖かくて刺さる曲に、それ節々が見えるような気がして、寝る前に浮遊信号の曲を聴いた。わたしを支える彼の歌が、彼自身も支えているといいなと思った。

 

 今夜、彼が幸せな夢を見られますようにと心から願う。

 

 

「ほんとのところはさ 生まれたことが怖くてたまらないよ

 だけど歌ってるよ 終わりなんて来なけりゃいいのに」

(ほんとのところ/浮遊信号)

 

 

 

追伸:なんだか感動っぽいことになってしまったので最後にこれを貼って締めよう。

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