埃のオタク小言

ジャニヲタから生まれたいろんなオタクです

Aぇ! groupのイナズマで救われたジャニヲタの話

中学校から付き合いのある旧友と「ジャニヲタが死語になるのかな」という話をした。

彼女とわたしが仲良くなったのは紛れもなくお互いがジャニヲタだったからで、まだ”焼け野原”と言われていた関西ジャニーズJr.がドームを埋めるくらい大きくなるまでいっしょに見ていた大切なオタク友達だった。

当時、ジャニーズという絶大な枠がこんなことになるなんて思いもしなかった。それはきっと、わたしだけじゃない。友達も、全国のジャニヲタも、たぶんジャニヲタじゃない人も。

生まれたときからジャニヲタで、ジャニヲタ以外の生き方を知らないのでわたしはこのことについて客観的に話すことができない。どうしてもジャニーズ事務所が育てたアイドルを好きなオタクとしての意見しか言えない。

こういうジャニーズ事務所を全否定できないオタクのことをひっくるめて、オタクじゃない人は「宗教的だ」と言う。ジャニーズに救われた、と言うそのすべてが、カルト宗教といっしょだと、そう言われる。

たしかにそうなのかもしれないな〜、と客観的に見ることを頑張ったわたしは表面では納得できる。教祖であるジャニーズ事務所からの供給によって勝手に救われるその図は、たしかに宗教と似ているのかもしれない。

ただ全否定できないジャニヲタを共犯者だと言うのはちょっとやめてほしい。だってわたしたちはジャニーズ事務所所属のアイドルに救われたというだけであって、その救ってくれたアイドルが悲惨な被害を受けてまでそこに立っていたかもしれないと急に言われて、結構動揺しているのだ。

だいすきな笑顔が、だいすきな歌が、だいすきなパフォーマンスが、途端にちがう意味を持ってしまった。それがどれだけ苦しいか、そちらもちょっとだけ客観的になって考えて欲しい。

 

わたしの推しは、ステージの端で小さい子と踊っているような、そんな子だった。マイクも与えられず、袖がない衣装で、キラキラな衣装を着ている同期のバックダンサーとして踊っていた。

彼が自分の武器であるギターを演奏するようになり、ソロパートを歌うようになり、演技に挑戦してドラマにオファーされるようになり、関西ジュニアの真ん中に立つようになったころ、彼も所属するグループができた。

ぜんぶ、彼が彼なりの戦いかたで手に入れた地位だった。

それが何も知らない人に「被害を受けたからある立ち位置」と言われるのがわたしは許せなかった。ジャニーズには普通の青春を諦めてアイドルになろうとしてくれた子たちがたくさんいる。それをそんな一言で片付けて、薄っぺらいものにされるのが苦しくてたまらなかった。

 

この騒動が起こる前、彼らのグループが週刊誌によってデビュー間近であると報道された。レコード会社とも契約をし、デビュー曲も決まっている、と。当時「本人の口から聞くまでは信じない」と言っていたけれど、結局本人の口から聞く前にこんなことになってしまった。

この情報がデマだったとしても、彼らがあとすこしで夢への一歩を掴めたのは事実だと思う。彼らだけじゃない。いくつかのJr.グループが、あとすこしでデビューの位置にいた。

だけど、こんな状態になってしまってはきっとしばらくデビューができない。

デビューをしても、彼らは心ない攻撃の対象になってしまう。

ジャニーズに憧れた彼らが、ジャニーズであることで糾弾を受ける。

ジャニーズじゃないほうが幸せかもしれない。ただ好きなようにギターを弾いているほうが幸せかもしれない。そう思っていたときに、推しのフェス出演があった。

世間がジャニーズ叩きに力を入れているいま、ジャニヲタだけじゃない空間に出るのがまだデビューもしていないJr.の彼ら。

ずっと出たいと言っていたフェスに出られるのに、喜びだけじゃないのがいやだった。

10月9日。

彼らは登場した瞬間「アイドルをやっています」と言った。最大限のアイドルを掲げてパフォーマンスをした。フェスのステージに立つ彼らは最高で最強のアイドルだった。わたしは、これが、このアイドルが好きなんだと泣いてしまった。

彼らの出番も終盤になったころ、曲の煽りで「俺たちのプライドを掲げて立ち向かうから」という言葉があった。それは初参戦のフェスに対してかもしれないし、会場にいるファンじゃない人に向けての言葉かもしれないけど、ハッとさせられる言葉だった。

彼らは彼らのプライドでそこに立っている。それはその場所を見ているだけのわたしたちには到底計り知れないもので、干渉できない。プライドがあって生まれたそのパフォーマンスを受け取るだけのわたしたちは、素直にそれを受け取って反応することだけが彼らのためにできることなのかもしれない。

わたしたちは彼らのプライドを守ることなんて大層なことできないけど、彼らが立っている姿を応援することがオタクである自分のプライドなのかもしれない。

アイドルを続けてくれることを約束してくれた彼らに、わたしもプライドを掲げてオタクをしようと決めることができた、そんなフェスだった。

 

ありがとう、イナズマロックフェス、ありがとう、Aぇ! group、ありがとう西川貴教さん、

そしてなにより、たくさんの思い出をありがとう、ジャニーズ。

これからもきっと、よろしく。